葬式が行われるとき、必ず設けられるのが入り口での受付です。受付はなにかと忙しい当家に代わって参列した人全員と顔を合わせる場所にあるため、また参列者全員のお香典を預かったり、それに対する返礼品を渡したりと大事な金品を管理するため、非常に大事な役割といえます。そのため、様々なマナーに基づいた行動が求められますが、最も基本であり大切なのはやはり挨拶です。

近年では密葬・家族葬が増えてきていますが、やはり今なお多くの方に見送って頂く葬式が執り行われています。そうした中、親族の一員として、あるいは町内会の役割として、もしくは社葬や合同葬といった会社を挙げての葬式のなかで会社の一員として、受付を任されることがありえます。

葬式は経験しないに越したことはありませんが、全く経験しないわけではありません。いざというときのために、どういった心構えで葬式の受付を行い、どういった挨拶で参列者を迎えるのかを考えていきましょう。

一般的な葬式で受付をする際の挨拶

故人を偲んで多くの方が集まる葬式、いわゆる一般的な内容の葬儀で受付を任されるのは、遺族親族のうちの誰かか町内会の役員の方です。どちらの立場で行うにしても、受付に立った以上は当家、特に喪主の代理であると考えておきましょう。

冒頭にも述べましたように、受付を任された方は葬式当日に唯一参列者全員と顔を合わせ、言葉を交わします。ゆえに、本来ならば当家・喪主が葬式内で行わなければいけない「参列者ひとりひとりへの挨拶」を受付の人が行うことになります。

最初の挨拶

受付に来た参列者へ、まずは一言「本日はご参列ありがとうございます」と言い、その後記帳の案内をします。葬儀社によっては記帳用のカードを別に設けて受付を通す前に記帳を済ませてもらう場合もあります。

その場合は香典とともに受付を通しますので、「お預かりいたします」の挨拶とともに両手で丁寧に受け取ります。その後、会葬礼状や香典返しといった返礼品を「ありがとうございます」の挨拶で渡します。

社葬や合同葬など、規模の大きい葬式での受付の挨拶

社葬、合同葬といった会社をあげて行われる葬式で受付を任された場合は、挨拶の丁寧さはもちろんのこと、式場内の案内についても把握をしておかなければなりませんのでさらに忙しくなります。

また、受付の挨拶も一般の葬式以上に気を付けた方が良いでしょう。なぜなら、社葬や合同葬は参列者の顔ぶれが一般の葬式と異なり、取引先であったり親会社であったりと、会社どうしのお付き合いによって重役の人が参列する場合があるからです。

一般の葬式にも当てはまることではありますが、社葬や合同葬の参列者は文字通り多忙な中を故人や企業のために駆けつけてくださっています。また、平日・土日に関わらず、業務を中断して葬式に足を運んでくれている場合も多くあります。

忙しい方が集まる為、ご足労の意味を含める

そのことを踏まえ、「本日はお忙しい中、ご参列いただきましてありがとうございます」という挨拶を忘れないようにします。一般の葬式の受付が当家の代理であるならば、会社をあげての葬式での受付は会社の代表といっても過言ではありません。

そのことを忘れず、丁寧な挨拶を心掛けてください。

香典辞退の葬式での受付と挨拶

近年増加傾向にある葬式の形として、参列者からの香典を受け取らない葬式・いわゆる「香典辞退」があります。これはだいたいが故人の生前からの意志によるものであり、遺族・親族がそれに従った形です。

しかし、参列者は香典辞退という形式をお通夜または葬式当日に知ることになることが多く、持ってきた香典を渡さないのは失礼にあたるのでは…と考えることがまだまだ多くあります。

そうした葬式で受付を任された場合、挨拶とともに香典辞退の旨を参列者に伝える必要が出できます。「本日はご参列いただきましてありがとうございます」という挨拶の後、「本日は故人とご遺族の意志で、皆様からのお香典はお断りさせていただいております。お気持ち(お参り)だけお納めいただければと思いますので、ご記帳だけお願いいたします」というように説明するといいでしょう。

受付で挨拶とともに、香典辞退という形は外でもない故人・遺族の意志であるということを、いかにしっかりと伝えるかが大切です。

受付は葬式の顔、挨拶はしっかり

この記事の中で常に記しましたとおり、受付は葬式における顔役であり、当家が行き届かない参列者全員へ挨拶を行う大事な役目です。受付の挨拶ひとつで葬式が決まるといっても過言ではありません。

また、故人を想い当家を想って持ってきてくれた「香典」という心遣いを預かる重大な役割を担っています。それ故に、当家にかわって故人のもとへと駆けつけてくださったすべての人への感謝の気持ちを、受付の人が挨拶を通じて伝えるのです。

葬式は故人を弔う場所であるとともに、たくさんの厚情、故人を想う気持ちが集まる場所です。しかし当家は深い悲しみのうちにあるため、どうしても行き届かない面が出てくるものです。受付はその行き届かない面を挨拶でもって補い、当家が伝えたい感謝の気持ちを伝えながら大事な心遣いを預かるということを忘れてはなりません。

1日のうちのほんの数時間、慌しくはありますが、葬式を当家とともに支える立場にある役割が受付です。受付の挨拶が故人や当家を大きく支えるものであることを頭に置き、引き受けた際には襟を正して臨んでください。